都会ではコミュニケーションが少ない
田舎で暮らすことのメリットは、治安の良さや家賃や土地代の低さ、物価の安さといった物理的なことだけではありません。
都心に比べて「もの」「ひと」「情報」が圧倒的に少ない田舎での生活は、人が人として生きていく上で何が本当に大切なのかに気づかせてくれる大切なヒントが隠されているのですl
都会の暮らしでは、一歩外に出ればたくさんの人が街を歩き、肩がぶつかっても頭を下げることすらしません。
また、隣近所で生活していたり、同じマンションに住んでいたとしても、お互いの顔どころか名前すら知らないということも少なくないのです。
もし、街中で知らない人に話し掛けようものなら、即座に不審者を見るような目で見られるのが都会というもの。
それもそのはずです。都会で知らない人に声をかけるのは、強引な方法で高い商品を売りつけようとするキャッチセールスや、同じく法外な料金で飲食をさせるバーやキャバレーなどの店、そして宗教などの勧誘と相場が決まっているからです。
それ以外で、都会の街のなかで知らない人が声をかけあうということは滅多にありません。
よく田舎の人が都会に出て驚く光景は、目の前に倒れている人がいるのに、誰一人として声をかけずに通り過ぎること。
まるで、その人なんて存在しないかのように皆が振る舞うのです。
これにも都会人なりの理由があり、相手が酔っ払っているかもしれない、精神的におかしな状態になっている人かもしれない、そのような時に声をかけてからまれてしまうリスクを避けたいという心理が働いているのだと思われますが、その光景を見る限りはとても冷たいものに見えますよね。
親密なコミュニケーション
田舎で生活をすると、隣近所はすぐに顔見知りになります。
それがわずらわしいと感じる人もいるようですが、災害や急病など、いざという時に近くに自分を知っている人がいるということはとてもこころ強いこと。
田舎の近所づきあいは、そのようなリスクマネジメントの意味もあるのです。
また、田舎では、信号待ちをしていると横に立っている人に話し掛けられたり、散歩の途中で畑仕事をしている人に野菜をもらったりということもよくあるのです。
近くに人がいれば、特別なことがなくてもちょっと声をかけてみる。
「今日は暑いね」「涼しくなったね」そんなことでいいのです。
このようなちょっとしたコミュニケーションが日常的に行われているのが、田舎のよいところのひとつでしょう。